中間支援組織であるNPO法人えべつ協働ねっとわーく(江別市)にお勤めで、2013年7月20日に「Community HUB 江別港」を立ち上げた、きたのわメンバー、橋本正彦さんに、ファシリテーションについてお話をうかがいました。(2013年5月23日(木)宮本 奏)
― 橋本さんは、ファシリテーションにどのようなイメージをお持ちですか?
会議の進行役、限られた時間を有効に使う、団体の煮詰まっている状況を改善できるような道具、個としての存在が強いのではなく裏方的な存在、というようなイメージです。
― どのような場面で、ファシリテーションが必要だと感じますか?
まずは自分の所属する団体内の会議や、相談にお越し頂く方や団体に対する対応です。それは1対1で話す場面でも必要だと感じています。そして外に出る会議では、ファシリテーターという役割はもちろん、いち参加者であっても会議に貢献できることがあります。
― 団体の会議について課題や悩みはありますか?
限られた時間の中で、話し合うことをお互いに理解しながら進めるのがとても難しいです。どうしても話がそれてしまうんです。結論は出るのですが、横道にそれる分の時間が長くなってしまうことがよくあります。ファシリテーションの講習はそれぞれ受けていますが、いち参加者になると自分も含め忘れてしまいがちですね。
― 相談来訪者への対応で課題や悩みに感じていることは?
こんがらがった状態を少しでもほぐして帰ってもらえたらと思いますが、問題はその人が自分の団体に帰って、団体の中でその状態を共有できるかどうかです。自分もそうですが、手法が分かっても、それを団体の中で実行するのはまた別のパワーが必要で、そこで挫折することはよくあります。だから本当はその団体に一緒に行って、みんなでこんがらかった状態をほぐしていくお手伝いをできれば良いのですが、そこに入るのはなかなか難しいです。
― 所属団体以外での会議ではどのような課題や悩みがありますか?
いち参加者としてファシリテーションの視点で質問したり、他の参加者に意見を求めたりするお手伝いをしていきたいと思いますが、例えば商店街の役員会や自分が委員をしている会議などでは、場の空気に負けてしまい、それが出来ないことがあります。
― そのような会議を変えるにはどうしたらいいのだろう?
その空気に負けずに、自分自身が思い切って、空気を換えてみようとすることだと思います。
― いち参加者ができるファシリテーションの勉強会をしたら面白いかもね。
そしたら自分がその場にいる意味を考えられるようにかもしれませんね。結局は会議を変えるために大切なのは、自分自身のスイッチの切り替えだと思うんです。いち参加者であっても、この会議を良いものにするために自分が何をするべきかを、スイッチを切り替えて客観的に考えられるようになる、そういう意識が大切だと思います。
― 最後に、きたのわに期待することを教えてください。
その切り替えスイッチを一人でも多くの方に持ってもらえるようにすることですね。きたのわのミッションは、ファシリテーターをたくさん育てることよりも、現場の会議が有意義なものになるためのお手伝いをすることだと思います。似ているかもしれませんが、スキルよりもスイッチを身に付けてもらうこと、というイメージです。そのスイッチを自分で切り替えられるんだ、ということに気付くきっかけをつくっていくのが、きたのわの役割だと思っています。
橋本正彦(はしもと・まさひこ)
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趣味とか教育感が周囲と微妙に異なる両親に育てられたせいか、孤立しがちな青春時代を過ごす。時間だけはたくさんあったので、死とは、生命とは何かを解明しようと試みた結果「全人類が面白おかしく生きられればいいんじゃない?」という青春を費やして考えなくても良いような結論に達した。ここで自分の人生の目標を「世界平和」に定め、その手法を模索しながら、映画造りの学校(イメージフォーラム附属映像研究所)に行ったり、川の仕事(財団法人河川環境管理財団及び財団法人石狩川振興財団)に従事したりし、貨幣システムと対話こそ、世界平和の手法であると確信する。その後、流れるままに現在のまちづくりの仕事(NPO法人えべつ協働ねっとわーく)に転職、それと同時に若者が社会に対してロケットスタートを切れるような仕組みを作りたいと思い立ち、ノリと勢いで「Community HUB 江別港」を作り始め現在に至る。きたのわとの関わりは、宮本氏が講師の講座に参加して衝撃を受けたことが始まりだが、世界平和のキーワードである「対話」とファシリテーションは相通じるものがあると考え、活動に参加している。